高齢社会を迎えて、
高齢者の定義そのものを変更すべきという動きが出ています。

現行では、高齢者は「65歳以上」で、
65〜74歳までが「前期高齢者」、
75歳以上が「後期高齢者」に分けられています。

私を含め、研究グループで
高齢者を対象とした研究を行っている者としては、
高齢者の定義がどうなるのか、注視していかなければなりませんね。

D5 木村

(Medical Tribune 7月14日付)

一般に高齢者の定義は、「65歳以上」とされているが、
人生80年時代を迎えた現在では、時代の動きと乖離したものになっています。

第24回日本老年学会(会長=健康科学大学・折茂肇学長)で折茂学長は、
長寿社会を活気あるものとし、元気な高齢者が社会に貢献できる社会システムを
構築するため、「高齢者の定義を75歳以上に変えるべき」と提言。

●1980〜90年代初めに比べ身体機能,脳動脈,冠動脈が若返り

内閣府が行った国民の意識調査で、国民の多くは
「自立機能の低下」が高齢者の特徴で、「70〜75歳以上」を高齢者と考えていると。

1984年、世界保健機関(WHO)は、老年期の健康指標として、
従来の死亡率、罹患率に加え、自立機能を重視すべきと提言。
97年に厚生省老人保健福祉局も、
「高齢者の健康指標として、疾病の有無よりも、日常生活自立機能を重視すべき」と。

要介護高齢者の実態調査データからは、
75歳以上で要介護認定高齢者、特に中等度以上の要介護認定高齢者が増加し、
痴呆症が急増、医療的ケアの必要な要介護高齢者の87%は75歳以上であると。

東京都老人総合研究所が、地域在宅高齢者における身体機能を10年間調査。
その結果、歩行能力の維持が、基礎的運動能力および自立に重要で、
最大歩行速度の個人差は加齢とともに大きくなることが示されました。
最大歩行速度は、男女とも加齢に伴い低下し、後期高齢者で低下率は大きく、
握力も男女とも低下し、後期高齢者では女性で著明に低下。
老研式活動能力指標は、男性に比べ女性で低下率が著しく、
特に後期高齢者では著しい結果となりました。

1992〜2002年にかけて、高齢者の身体機能が著しく向上し、
男性では約7.5歳、女性では約10歳若返っています。

高齢糖尿病患者の自立機能を比較しました。
その結果、1997年以降の後期高齢者の自立機能は、92年の前期高齢者を上回り、
92年の65歳以上の自立機能の分布は、2000年の79〜81歳以上の分布に相当、
自立機能は、男女ともほぼ15歳若返っていることが明らかに。

また、1986〜87年と2000〜01年に脳動脈と冠動脈を検索。
その結果、高齢者(65歳以上)では、最近の14年間に
脳動脈は男性で約20歳、女性で約10歳、冠動脈は男性で約15歳若返っていました。

以上から、折茂学長は、「高齢者の定義を、現行の65歳以上から75歳以上に変え、
高齢社会にふさわしい社会全体の仕組みを構築すべきである」と提言。

●活気ある高齢社会実現に老年学の確立、振興が必要

活気ある高齢社会には、老年学(Gerentology)を確立、振興していく必要があります。
老年学とは、高齢者に関する医学、社会学、心理学、生物学など
広く学際的に研究する総合的人間学。
日本では、老年医学(geriatric medicine)に重点が置かれ、老年学の関心は低い。
現在、老年学の講座を設置している大学は、桜美林大学 1 校のみ。

1959年に日本老年医学会が設立、同年に同学会と日本老年社会科学会が合体し、
現在の母体となる日本老年学会が設立。
77年には日本基礎老化学会、91年には日本老年歯科学会、
99年には日本老年精神医学会、2003年には日本ケアマネジメント学会が加入。

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/tribune/38/28/academy01.html?Mg=208282866bda3bb5edc7e903b46668c4&Eml=10ba2da20acd510be8be073161923479&F=h&portalId=mailmag